WHO(世界保健機関)報告書に外部レビュアーとして参加しました
このたび世界保健機関(WHO)が公表した報告書『Artificial intelligence-related health research: ethics review and oversight(AI関連の保健医療研究:倫理審査と監督のあり方)』(WHO、2026年)に、理事長・野村和至が External Reviewer(外部査読者)の一人として参加し、報告書に名前を掲載していただきました。
どのような報告書か
医療の分野でも、AI(人工知能)を使った研究が急速に広がっています。画像から病気の兆候を見つける、大量の診療データから新しい知見を導く、といった研究です。
一方で、こうした研究をどのようなルールで見守るべきかという議論は、技術の進歩に追いついていないのが実情です。
この報告書は、AIを用いた医学研究について、
- 従来の研究倫理委員会だけでは確認しきれない課題があること
- 研究成果が短期間で製品として社会に出ていくため、早い段階からの点検がより重要になること
- 研究者、研究費の提供者、学術誌、学会、規制当局など、多くの関係者が責任を分担する必要があること
といった点を整理し、それぞれの立場で検討すべき事項をまとめたものです。
また、AI研究の専門知識・人材・資金の多くが高所得国に集中しているため、低・中所得国の人々のデータだけが使われ、その恩恵は届かないという不均衡についても、多くの紙面が割かれています。
参加して感じたこと
取りまとめにあたられた先生方が、限られた時間の中で世界中の意見をまとめ上げていく過程からは、多くを学ばせていただきました。同時に、日本の恵まれた医療環境の中にいると、どうしても視野が国内にとどまりがちであることを痛感しました。
当院では、日々の診療を第一に大切にしながら、医療におけるデジタル技術やAIの活用について、有用性と倫理の両面から慎重に考えてまいります。今回の経験を、地域のみなさまによりよい医療をお届けするために生かしていきたいと思います。
(参考)報告書はWHOのウェブサイトで公開されています。


